Malström:
イラストを描き始めてどれくらいになるんですか?
アイラ・プリンス・ヴァルズ氏:
物心着いたときから絵を描き続けてきました。鉛筆を持てるようになった瞬間から絵が好きだったし、私の生活を心配した両親には反対されましたが、ずっとイラストレーターになりたいと思っていました。芸術学校に入学しましたが健康上の理由で通えなくなってしまって、当時はかなり辛い思いをしました。自分には無理だ、全部無駄なんだ、現実を見るべきだって思い悩んで、夢を諦めていた時期も数年間ありました。でも、仕事としてやっていかなくちゃいけないプレッシャーを抜きにすれば、絵を描くことは大好きだったから、結局またこの仕事に戻る決意をしました。そういう意味では、私はすごく頑固なんですよね。それに、現実的じゃない、諦めようって思ったとしても、それを完全に信じていたわけじゃなかったんです。自分には無理だって思っても、結果として実現できたんだから。絵を描くことを仕事にしてから4、5年経ちました。今なら、あの時期なくしては案外ここにいられなかったんじゃないかと思います。
実は、今受けている仕事の多くはTRPGに関することです。オリジナルのTRPGは約1年ほど前から制作しています。イラストだけで言えば、有償依頼はほとんどTRPGの挿絵ですし、プライベートで受けている無償依頼でも、TRPGのキャラクターの立ち絵を描いたりしています。今現在は、自分で作っているシステムを除いて、複数の作品にイラスト担当として参加させてもらっています。TRPGは、いつの間にか私の仕事と密に関わるものになっていたし、とても楽しみながら仕事ができる私にぴったりな分野だと思っています。
Malström:
イラストやTRPGのインスピレーションはどこから受けていますか?
アイラ・プリンス・ヴァルズ氏:
アニメや漫画の影響は大きいと思います。あとは、そのとき一緒に働いているクリエーターなど、個人的に関わりのある周囲の存在が大きいです。インディーズのTRPGクリエーターたちとの交流や仕事は、インディーTRPGに興味を持っている理由の1つになっていると思います。大きな出版会社の動向よりも、親交があるインディーズのクリエーターたちがどんな作品を作っているのかに興味を惹かれるんです。友人や、他の創作をしている人たちも同じように刺激になります。
私が作るものの多くは、私の「あったらいいな」からできています。私が見たいイラストを描くし、遊びたいTRPGを作っています。他のクリエーターさん、たとえば多くの二次創作をする方々などと同じように、他の人が作ってくれるとは限らないから欲しいものは自分で作ります。自分の願望を自分で叶えているようなもので、要するに自己満足です。でも、ただ私が見てみたいという自己満足を動機にして作ったとき方が、最高の作品ができたりするものだと思っています。
Malström:
今制作中の作品はありますか?
アイラ・プリンス・ヴァルズ氏:
ありますよ! 今は『Robots Loving Robots』というTRPGを制作しています。『EotP』と同じように2人1組のペアになって、危険で違法な仕事をこなすために協力することになります。トランプを使用する場面もありますが、プロンプトを決めるためというより、キャラクター制作のために使われます。
このゲームは書簡型のゲームで、PCたちはロボットとして手紙のやりとりをします。1人は修理が必要な壊れたロボットで、もう1人は相方を直す役目を持つロボットです。手紙の内容は、あなたがどんな種類のロボットかによって変化します。例えば、あなたが小さなお店のレジ打ちロボットだったら、手紙に書けることは自分の持ち場から見える物事だけかもしれない。あるいは、あなたが人間らしい社交性をまったく備えていないロボットだったら、抽象的な思考や感情を記すことはないかもしれない。こんなふうに自分の性能に手紙の内容を縛られているなかで、なんとかその制限に抗って自分の思いの丈を伝え合う方法を見つけ出してもらいます。直接会ってお互いを助けるために、そういったコミュニケーションを通じて信頼を築く、というのがこのゲームの内容です。
8/10現在、『Robots Loving Robots』はプレイテスト中だそう。
制作状況が気になる方は、上記のリンクからアイラさんのTwitterをチェックしてみてください。

Malström:
最後に日本のプレイヤーにメッセージをどうぞ!
アイラ・プリンス・ヴァルズ氏:
まず始めに、本当にありがとうございます。私はいつも創作に全力を注いでいます。だからこそ、いろんな人がこうして私が作ったものに熱中してくれてとても幸せです。みなさんが楽しんでいる様子を見るのは、私にとって、うまく言葉にできないくらい大きな意味があるんです。
それと、みなさんのキャラクターをもっと見せてください! みなさんのキャラクターについてもっと教えてください! みなさんが作ったキャラクターについて知りたくてたまらないんです!
それはさておき、みなさん、私の作品を温かく受け入れてくれて、読むための、そして遊ぶための時間を取ってくれて、ありがとうございます。人類がこの地球上で生きている限られた時間の中で、誰かが私が作ったものに時間を割いてくれるなんて、奇跡だと思っています。みなさんがEotPを楽しんでくれることが私の喜びです。これからも、みなさんが私の作品を楽しんでくれますように!
![[クリエイターインタビュー]Ira Prince Vallsさん [クリエイターインタビュー]Ira Prince Vallsさん](https://www.malstrom.co.jp/wp-content/uploads/2023/08/CCFOLIA.png)